momo2994のブログ

5年7ヶ月にわたる小腸がんの闘病生活、最後は大好きな自宅で家族に見守られながら旅立った夫の闘病記です。

俺、もう助からんの?

その日大きくなったり傷口から、

廃液を抜く処置をして貰いました。

フェントステープを3mgにしてからは、

お腹の痛みは殆ど訴える事が有りませんでした。

1日2回は定期的にアンペックを使いましたが

それで充分でした。

入院中はこちらから言わなければ

麻薬は勝手には持ってきてくれなかったので

夫も痛みが無かったので使いませんでした。

 

病院でも点滴は500mlの維持液でした。

個室ではなかったので

私は帰らなければならなかったのですが、

夫は不機嫌そうにはしていましたが

何も言いませんでした。

そして睡眠薬だけは寝る前にもってきて

貰うようにお願いしました。

心配でしたが仕方ありません。

後は看護師さんに任せてその日私は帰りました。

 

次の日は朝から退院の予定でした。

大きくなった傷口には

パウチを貼ると言う事でした。

看護師さんは大きな台紙を傷口に合わせて

中をくり抜いて切っていきました。

そしてそれを傷口を覆うように貼り付けました。

台紙に付いているビニール袋に

廃液が溜まって行きました。

 

やっとパウチが付けられると

事務の精算が済んで退院となる訳ですが

その前に部屋に来られたI先生に

夫は俺、もう助からんの?と聞きました。

 

私は愕然としました。

あれだけ俺はいつ死んでも良いと言ってたのに

S先生に長く生きられなくても良いから

痛みを取ってほしいと自分から言ってたのに

先生にいつまで生きられるか

しつこく聞いていたのに

夫はまだ生きる希望は捨てていなかったのか?

まだ諦めた訳ではなかったのか?

私は夫の心の中が分からなくなりました。

 

I先生は悲しそうな顔をして

小さく頷きました。

夫の諦めたような顔、

見ているだけで悲しく涙が溢れて来ました。