あと数日か1週間かも知れない…
退院の日、若い主治医のI先生が、私を夫の部屋の外へ呼び出しました。
そして目を潤ませながら、ご主人肝臓の機能が悪く黄疸も出ていて、大変危険な状態です。帰られたとしても後数日か1週間くらいだと思います、残念ですがと言われました。
とうとう恐れていた日が来てしまいました。いつか言わるるだろうと覚悟はしていたつもりでした。
不思議に涙は出ませんでした。
もう色んな事が入院中にあり、ストレスが一杯で私も悲しいとかそういう感情が、あまり無かったように思います。
私は先生に分かりましたと言いました。その時の先生の悲しそうな顔、忘れることが出来ません。
夫を迎えに早くから来て待ってくれていた夫の兄に、先生の言われた事を言いました。兄はそうか、分かったと言ってくれましたが、その時のショックは相当だったと思います。
いくら夫が自分はいつ死んでもいい、死ぬのなんか怖く無いと言ってても、いざ数日と言われるととても夫には言えませんでした。
夫も段々と弱って来る自分の身体、歩けなくなり遂に腸に穴まであき、残り少なくなった自分の命は当然分かっていたと思います。
私は何も改めてその事には、触れないようにしていました。