momo2994のブログ

5年7ヶ月にわたる小腸がんの闘病生活、最後は大好きな自宅で家族に見守られながら旅立った夫の闘病記です。

あ、ももちゃんや、あいちゃんは?

12月3日

この日から点滴を300mlにしました。
点滴をする前に
半分棄てておくように
前日kさんに言われていたので
棄てようとしましたが、手が震え
涙が出そうになりました。

たったこれだけ、
これだけで何日生きられるのよ!
なんで全部じゃ駄目なの?
分かっていても
その気持ちは抑えられませんでした。

夫は目を覚ました時に
少しずつお茶や紅茶を飲み
お昼にケーキを1口だけ
夕方には小さなアイスを1本食べました。

お茶や紅茶で水分は200ml飲みました。
胃ろうからの廃液はもう100mlしかでませんでした

夫は看護師さんが夕方来た時には寝ていました。
看護師さんは体温や血圧を測り
フェントステープの張替えを
私がまだやっていなかっのに気付いて
張り替えてくれました。
夫は痛い!と言ってやっと目を覚ました様でした。

大きな傷口のガーゼは
昼間に漏れて来たので、私が交換しました。
看護師さんは小さな穴のガーゼを替えて、
その周りを拭いてくれました。

ちょうどその時、末娘達がやって来て
ひとしきり騒いでいましたが
夫はあまり機嫌が良くないのか
孫達には何も言いませんでした。

看護師さんが帰った後
次女が買って来ておいた
小さな玩具のプレゼントを夫に持たせて

「今日、誕生日パーティーするって言ってたやろ、
ななちゃんとももちゃんにプレゼント渡してあげて」

と言っても
夫はあまり嬉しそうな顔はしませんでした。

孫達はキャーキャー言いながら
袋から玩具を出して喜んでいました。

それから暫く経ってからでした。
ももちゃんが夫の傍へ玩具を見せに行き
夫に顔を近づけると、やっと気が付いたのか
ももちゃんの顔をじっと見ていると
夫の顔がだんだん優しくなり

「あ、ももちゃんや、あいちゃんは?」

と言いました。

夫が正気で残した最後の言葉でした。

最愛の孫達の名前が、
夫の最後の言葉となりました。

孫の名前を呼んでくれて
本当に良かった。

意識のある内に皆んなに会えて
夫も満足した事でしょう。